身分系の在留資格とは?結婚・離婚・子どもに関する手続きをわかりやすく解説

在留資格の中でも、「身分関係」に基づく在留資格は、就労系の在留資格とは異なる特徴を持っています。結婚や家族関係を基礎として在留が認められるため、生活の自由度が高い一方で、離婚や家族状況の変化が在留に影響を与えることもあります。
本記事では、「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」などの身分系在留資格について、その基本的な仕組みと、結婚・離婚・子どもに関する実務上のポイントをわかりやすく解説いたします。
身分系の在留資格とは何か
身分系の在留資格とは、外国人本人の活動内容ではなく、日本人との婚姻関係や家族関係といった「身分」に基づいて付与される在留資格です。
代表的なものとしては、以下が挙げられます。
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
- 永住者
これらの在留資格の大きな特徴は、就労内容に制限がない点です。したがって、日本人と同様に、職種を問わず働くことが可能であり、生活の自由度が高い在留資格といえます。
日本人と結婚した場合の在留資格

外国人が日本人と結婚し、日本で生活する場合には、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することになります。
国外にいる場合には「在留資格認定証明書交付申請」を行い、日本にいる場合には「在留資格変更許可申請」を行います。
なお、この在留資格の審査では、「実態のある婚姻であるかどうか」が厳しく確認されます。いわゆる偽装結婚を防止するため、交際経緯や同居状況、連絡履歴など、さまざまな資料の提出が求められることがあります。
離婚した場合の在留資格の扱い
「日本人の配偶者等」の在留資格で在留している場合でも、離婚した時点で直ちに在留資格が取り消されるわけではありません。在留期間の満了日までは、適法に在留することが可能です。
ただし、重要な注意点がいくつかあります。
まず、離婚した場合には、14日以内に出入国在留管理局へ届出を行う必要があります。また、離婚後6か月以上配偶者としての活動がない状態が続くと、在留資格取消の対象となる可能性があります。
さらに、離婚した状態では、「日本人の配偶者等」の在留資格の更新はできません。そのため、日本で引き続き生活を希望する場合には、他の在留資格へ変更する必要があります。
離婚後の在留資格「定住者」への変更
離婚後も日本で生活を継続したい場合、「定住者」への在留資格変更が認められるケースがあります。
特に重要となるのが、日本人の子どもがいる場合です。申請者がその子どもの親権者として実際に養育・監護している場合には、「定住者」として在留が認められる可能性が高くなります。
審査においては、以下のような点が考慮されます。
- 子どもの親権・監護状況
- 日本での生活の継続性
- 安定した収入や生活基盤
これらの要素を総合的に判断して、在留の可否が決定されます。
子どもに関する在留資格の考え方

日本で出生した外国人の子ども
日本で外国人の子どもが出生した場合には、いくつかの手続きが必要となります。
まず、出生から14日以内に市区町村へ出生届を提出し、その後、各国大使館への届出を行います。さらに、出生から30日以内に在留資格取得申請を行う必要があります(60日以内に出国する場合を除く)。
原則として、親が適法に在留していれば、子どもの在留資格も許可されるケースが一般的です。
連れ子を日本に呼び寄せる場合
外国人配偶者の連れ子を日本に呼び寄せる場合には、「定住者」の在留資格を取得する方法が考えられます。
ただし、以下のような要件を満たす必要があります。
- 未成年であること
- 未婚であること
- 実際に扶養・監護される関係にあること
これらの条件を満たさない場合には、在留資格の取得が難しくなるため、事前の確認が重要です。
親を日本に呼び寄せる場合
永住者などが海外にいる親を日本へ呼び寄せる場合、「定住者」の在留資格が検討されることがあります。
しかし、このケースは審査が非常に厳しく、以下のような事情が求められます。
- 親が高齢であること
- 本国に介護者がいないこと
- 日本側に十分な扶養能力があること
これらの条件を満たしていても、必ず許可されるとは限らず、個別事情に大きく左右される分野です。
短期滞在から配偶者ビザへの変更
「短期滞在」で来日し、その後に日本人と結婚した場合、「日本人の配偶者等」への変更が認められる可能性があります。
ただし、原則として短期滞在からの変更は例外的な扱いであり、すべてのケースで認められるわけではありません。状況によっては、一度出国し、在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。
また、入国時の目的と実際の活動が大きく異なる場合には、審査に影響する可能性があるため注意が必要です。
身元保証人の重要性
身分系の在留資格においても、身元保証人の存在は重要な要素となります。
身元保証人は、申請者が日本で安定した生活を送るための支援を行う立場として位置付けられています。この保証は法的強制力を伴うものではありませんが、申請においては必須書類とされており、保証人がいない場合には許可が難しくなります。
例外的に、長期間在留している定住者などで、やむを得ない事情がある場合には、「身元保証人不在理由書」によって対応するケースもありますが、一般的ではありません。
入国制限と過去の違反歴
配偶者を日本に呼び寄せる場合でも、過去に退去強制処分を受けている場合には注意が必要です。
原則として、退去強制の場合は5年(再度の場合は10年)、出国命令の場合は1年間、日本への入国が制限されます。また、一定の重大な違反の場合には、無期限で入国が認められないケースもあります。
もっとも、個別の事情によっては、法務大臣の裁量により特別に入国が認められる場合もありますが、ハードルは高いといえます。
まとめ
身分系の在留資格は、家族関係を基礎とする重要な在留資格であり、生活や就労の自由度が高い一方で、家族関係の変化が在留に直接影響するという特徴があります。
特に以下の点は重要なポイントです。
- 結婚による在留資格は実態のある関係が前提となること
- 離婚後は届出義務と在留資格変更の検討が必要であること
- 子どもや親に関する在留資格は個別事情が重視されること
- 身元保証人の確保が重要であること
身分系の在留資格は、個別事情によって判断が大きく分かれる分野です。結婚・離婚・家族の呼び寄せなどを検討する際には、早い段階で専門家に相談し、適切な手続を進めることが重要といえるでしょう。
